社長の一言
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No.201- 更新【2013年7月19日】
201.最低賃金を決める理由は?
最低賃金の時給が7円上昇したが、上昇率が低いために生活保護費を下回る場合もあるとか。それでは、働かずに生活保護費を受け取った方が良いと思うのが普通でしょう。「働きたくない人」の生活を公費で負担してはいけない。
そもそも、労働対価として賃金を支払うのは雇用主であり、その基準は「労働の質」なのです。公的機関が最低賃金を時給700円と決めれば、労働の質がそれ以下の人は失業するのは当たり前です。
202.国民年金と生活保障
国民年金は、国民が老後のために掛け金を支払ったものを老後に受け取るものです。時給500円(1日8時間で4,000円、1ヶ月8万円)なら、自力で国民年金以上の生活を確保できる立派な労働者です。このレベルを達成できない場合に、国家が最低限を保証する生活保護費は国民年金より少額でも仕方がないだろう。ましてや働きたくない人を補助する余裕は無いのです。
203.不耕作農地の利用
最近、農地が荒れ放題になっている。一方、20代の若者の1割は失業、2割がパートか派遣社員だそうです。それなら時給500円で失業者を雇用しよう。農場で額に汗して働けば、明るい未来が開けるのではなかろうか?
204.高学歴
高学歴なら恵まれた生活が保障されると思ってか、大学院修士、博士への進学者が激増している。しかし、これらの大学院卒業生が工場、セールス、交番、消防署、生協売店等に就職して専門性を生かせないことも多い。ましてや入社3年で退職しては5千万円以上の高学歴投資が無駄になるのです。損得計算でなく、自分に合う仕事で社会に貢献しよう。
205.2μODS充填カラム
長良サイエンス(株)製の2μmODS充填カラム(4.6mmID x 50mm)が30℃、100% CH3OH、流速1ml/min、63気圧で、わずか3分で分析、分取できた。弊社では充填剤を精密分級(粒揃え)して微粒子を完全に除去してあるから低圧で分析できたのです。通常のCH3CN/H2O、CH3OH/H2O 系の溶媒条件でも200気圧程度で使用できるので通常のHPLC装置で十分です。この精密分級と充填カラムについて分析展(幕張メッセ、2012.9.5-7)、食品開発展(東京ビッグサイト、2012.10.3-5)、セラミド研究会(東京、2012.10.11-12)で発表したところ非常に好評で、弊社製の充填カラムを新発売しました[食品と開発、47(11)、24-31(2012)]。なにしろ、コンディショニングと分析に必要な時間が25cmカラムのわずか1/5の10分で済む。将来はこの5cm、あるいは3cmのカラムが世界標準になるでしょう。
206.「東京大学の秋入学案」はもう挫折?
東京大学の秋入学案が発表されたのは2011年7月? 発表と同時に各方面から支持され、その巧みな根回しに感心したものです。ところが最近、春入学して秋までの半年は通常の授業は開講しないと言う極めて安易な案になったようで、お世辞にも賢い案とは思えない。ならば、東京大学の半年卒業コース(入学金、授業料を一切込みで1万円)を新設しよう。1学年100万人とすれば毎年100億円が集まるだけでなく、国民全員が東大卒になるので学歴差別の弊害は一気に解消する。
207.大学研究費の格差
国立大学は現在の国立大学法人となったが、国家予算で運営されて基本的教育レベルが保障されていると思われている。ところが最近、大学間、教員間の格差が極めて大きくなっている(年間経費は50万円〜数億円の差があり、これでは同じ大学とは言えない!)。
これらの格差付けのために多くの審査機関等が関わり、その審議や裏交渉、裏取引のために多くの教員が奔走して教育研究が疎かになっている。
解決策とその効果――各大学教員に研究費を均一に配分すること。これで会議、裏工作等が不要となり、本務である教育・研究体制を取り戻せるだろう。
208.科学者の夢を壊さないで。
昨年、iPS細胞でノーベル賞を受賞された山○先生。純粋な基礎研究が好きで研究されている様は、まさしく研究者の理想の姿。ところがこの数か月の間に、国を挙げてのこの大騒ぎ。研究の聖地:大学に国を挙げての醜い金の亡者が取り付いてしまったようだ。現状はご本人にとって予想外の事態でしょう。ここはむしろ、そっと見守るのが良いのではないでしょうか?
209.巨大研究室の不幸―1
研究費に余裕があるのは好ましいが、その程度が過ぎると問題が多くなる。 各研究室に博士研究員や大学院生等のメンバーが50人もいると、研究の議論をする暇もなく先輩に習う程度で卒業してゆく。毎年10人以上が入れ換わるような研究室なら、教授は自動車学校の校長先生程度の役割でしかない。
210.巨大研究室の不幸―2
十分な研究費があると博士研究員を何人でも雇用できる。若者は博士研究員の破格の待遇に惑わされて研究を続け、30代後半に達して初めて就職の機会を失ったことに気付く。非正規研究員の待遇が良すぎることが問題です。
211.巨大研究室の不幸―3
有名研究室の研究環境は大企業以上に恵まれている。その結果、中小企業や地方大学に就職すると、その劣悪な研究条件を知るとやる気が無くなる例も多い。恵まれすぎた不幸はどこにでもある話なので要注意です。
212.柿とみかんの畑
会社近くに立派な渋柿とみかんがなっていて、果物が色づくのを見て羨ましくなりました。そこで所有者にお願いして実った果実等を分けて頂き、柿、ミカン、銀杏狩りを楽しみました。現在、柿の渋抜き法の研究中で地元に貢献できるか? と楽しんでいます。この楽しみこそが天然物化学の原点なのです(2012.12)。
213.いつの日か、銀杏のツリーハウスを!
縁あって小さな土地を購入しました。駐車場、薬草園、果樹園など夢一杯で田舎ならではの楽しみです。隣地の銀杏の様な巨大なツリーハウスを作るのを夢見ています。30年後には東大の銀杏並木のようにしたいと思っていますのでお楽しみに!
214.1.5μmシリカゲルの精密分級に成功
このところ、微粒子の精密分級に凝っていますが、これはナノテクの一種で極めて重要な基本技術です。そこでUHPLC用の微粒子シリカゲル担体として世界最高峰の1.5μmのシリカゲルの精密分級に挑戦して大成功。分析展(2013.9 幕張)で発表の予定です。ところが、このゲルは微粒子を完全にカットしてあるので高価なUHPLCは不要で、汎用HPLC装置で使用できそうです。そうなるとUHPLC用途にはもっと小さい1μmゲルが必要になるので、もうしばらく忙しくなりそうです。
215.新規研究テーマ「HPLC装置の改造」
HPLCカラムの分離性能向上につれて、その品質検査に用いるHPLC本体の性能向上も必須であることが判明した。弊社では通常のHPLCの他に500気圧以上の超高圧でのUHPLCシステムを使用しているが、これらに使用されている分析、分取セル等を改造すると分析性能が大きく向上し、汎用HPLC装置でも2μmODSシリカゲルの2mmIDx50mmカラムの分離性能を十分発揮できることが解った。弊社の研究も、HPLC充填剤の精密分級 ⇒ カラム充填法の改良 ⇒ 分析機器の改造へとテーマが進化している。
216.女神の微笑 (1)
解決しそうに無い事をいつまでも考えると、ついつい時間を無駄に使ってしまう。必死に考えていると、何か高級な研究をしている様に思ってしまうが、効率が下がっている事があります。そんな時に僅かの実験をすれば、明快な結論が得られることがあります。昔風に言えば「下手な考え、休むに似たり」、「論より証拠」という事でしょう。黙々と努力していると、女神が微笑んでくれるものです。
217.女神の微笑 (2)
私には、女神の微笑としか思えない事が結構な頻度で起こるのです。なかにはそれを、まぐれ当たりと茶化す人もいますが、そんな幸運が2〜3回も大当たりすればそれが実力なのです。私の場合にはそんな幸運が、還暦(60歳)を過ぎてから頻繁に起こるのです。これは、私の判定基準が甘くなったのか、それとも、経験の積み重ねで読みが深くなったのか、はたまた大学という特殊環境から解放されたお蔭か、いずれにしろ日々の研究生活が無性に楽しいのです------若かりし頃に苦労していた事がまとめて収穫時期を迎えているのでしょうか------。
218. 衰退した花形産業を再生
かつての花形産業の衰退が著しい。岐阜でも大野町のパナソニック、岐阜羽島のサンヨー、美濃のソニーなどいずれも千人規模の巨大工場が相次いで閉鎖された。これらは日本の高度経済を支えていたが、わずか20〜30年で敢え無くダウンしてしまった。今はこれらに代わる新ハイテク産業を興して日本を活性化することが必要なのです。
219.東京大学、ついに秋入学を断念
2011年4月に大々的にマスコミ発表した[東京大学の秋入学案]。わずかの間に文科省、旧帝大をはじめとした多くの賛同を得て世間の注目を集め、私も[さすが東大!]とその根回しには感心したものです。しかしながら、入学、入社の新年度を4月からとしたのは古くからの習慣で、東京大学だけで決める事ではないのです。何か基本的な社会秩序の判断基準が怪しくなっているのではなかろうか?
220.東京工業大学よ、お前もか!
2013年秋、優秀な学生は飛び級で2年も早く大学院修士課程を卒業できるように規則改正すると発表した。東京大学、東京工業大学共に、以前の優等生が大学のリーダーになって、“1~2年早く卒業させる!”と言えば、日本全国、いや世界から優秀な若者を集める事ができるとばかりの強引な手法が目立っている。それは卒業証書を安売りしての人材集めで、大学が考える事ではなかろう。
ハーバード大学を中退してまで起業したビルゲイツを見習おう!
221.もしも、癌、心筋梗塞、脳溢血が治れば-----
科学進歩の結果、これらの不治の病が無くなる日が近いと思われる、しかし、その結果、人の寿命は100歳を突破して大半の人は人生の最後に十年以上寝たきりになるだろう。醜い欲望を剥き出しにして原子力発電で地球を汚染し、多額の負債を子孫に残すことなく、「今日1日、精一杯生きる事ができた事に感謝し、その満足感を味わうことが大事」と思う。
222.大学、教員による学生・研究費の争奪戦とその結果
大学、大学院の組織を挙げての新聞紙上等の宣伝、広報活動が目立つ。本来、大学・大学院は学生、院生の教育が本業であるが、各教官は研究費稼ぎに貴重な時間を浪費し、研究成果を競うために大学院生や博士研究員に長期労働を強いる現状は明らかに教育範囲を逸脱している。
大学の研究費は競争的資金が急激に増えて、特定の大学、教員に集中している。有名教員は1億円以上の年間研究費を獲得しているが、その他の大半の教員はわずかの研究費(年額100万円未満)で苦労している。 同じ大学、学部でも研究費は100倍以上もの格差がある一方、教員には学生が均等に割り振られている。
研究費が多い教員には多くの博士研究員(オーバードクター)が所属して、30代後半になって就職先を失ったことに気付くことになる。なんと皮肉な事だろうか! 当然ですが、各大学、教員は、卒業生の将来を保証する義務があるのです。若者を裏切ってはいけない。
223. 不幸中の幸い?
私が岐阜大学に赴任したのは1990年5月で、まさしくバブル絶頂期であった。
研究条件に恵まれた名古屋大学から岐阜大学に移った私は、研究費不足を覚悟していたとはいえ、年間予算が50万円弱という貧弱な研究条件に途方に暮れたものです。幸い、以前からお世話になっていた企業などの協力を得て研究を続ける事ができた。
そんな90年代末頃、日本経済はバブル崩壊後の沈滞期を迎えた。それまでは「大学の研究は何の役にも立たない」と言わんばかりの日本の政治・経済界は突然、日本経済の再興を大学の研究に託して、大学発ベンチャー創業が推奨され、2000年より国立大学教官の企業役員の兼業が許可された。
私は人事院、文科省から、2000年8月より国立大学教員の最初の社長兼業を許可され、弊社と岐阜大学との共同研究により大学の研究レベルを落さずに研究できた。
2015年現在、定年後4年が過ぎて69歳になったが、定年時に現社屋(土地2000u,建物1800u:大学の5研究室分相当?)を購入して十分な研究設備と10人の研究員に囲まれて好きな研究を続けている。
224.大学と企業の研究(1)
大学の現役教員だった頃、大学の研究条件、特に旧帝大は恵まれていると思っていたが、それは大きな勘違いだった。
@4年生~修士が15人、A博士課程~博士研究員が10人、B教職員5人の合計30人を抱える超有名研究室のモデルを考えてみよう。@Aは無給の寄せ集め研究者集団で、Bは@Aの現場監督をしながら定職を探すのが仕事なのです。仮に年間予算が1億円でも、所詮は短期雇用者集団なのです。
225. 大学と企業の研究(2)
一方、弊社社員11人の過半数が博士取得者で、その大半は私と平均10年以上の研究仲間で今後も継続できるのです。新入社員は毎年1名程度なので特訓すればすぐハイテク研究者になるのです。最近の決算では売上1億円超を達成し、例えば、2014年度の超臨界SFCクロマトについで、この2015年度は間もなくLC-MS/MSを購入します。大学と企業、どちらが研究に有利か? その結論は言うまでもない。
226. 高学歴で破綻!
大学は教育機関なので「社会で活躍するための知恵を学ぶ場所」なのです。大学(4年)、大学院博士(5年)、博士研究員(3年)を経験すると合計12年間も大学で学び研究するのです。勉強好きの努力家でもウンザリするほどの高学歴。寿命が90年近くなったとはいえ、30才までが教育期間、30〜60歳までの勤労期間、60〜90歳の老後とするなら、人の一生90年の生涯経費をわずか30年間で稼ぎ出すことが必要となり、破綻する事は明らかなのです。
227. 銀杏の収穫
今年も銀杏のシーズンが到来しました。集めた果実は300リットル強で果皮を除去したギンナンは約70kg。既に、社員と関係者では食べ切れないほどの収穫がありました。12月になってミカンの収穫と干柿作りが始まり、これらは弊社の年中行事で仕事のうちなのです。
228. 弊社は標準品試薬から仕事を始めて400種類に達しました。最近では受託精製・合成などの受託業務が増えてきましたのでその例を紹介します。
受託業務の例@
依頼内容:HPLCでは単一ピークに見えるが、NMR等では4:3の混合物と思われるので精製して欲しい。
結 果: 3日で分離できて150万円ほど頂きました。その後、その会社さんは弊社の常連さんです。
229.受託業務の例A
依頼内容:商品1kgから微量不純物 (0.1%) 200mgを純粋に精製
結 果: 99%純度に精製して納品しました。この場合は3週間でした。
230.受託精製と保管の例B
依頼内容:-78 °Cでも分解する化合物を精製、保管して欲しい。
結 果: 精製して-40 °Cで保管し、10回に分けて納品しました。特別なフリーザーですか?と聞かれましたが通常品でした。
*弊社ではセールスには伺いませんが、依頼者はどこかで噂を聞いて来られるようです。お陰さまで、受託業務が年商6,000万円を超えました。上記のような難しいテーマ?をお待ちしています。
231.化粧品に凝っています@ 18-MEA (18-Methyleicosapentanoic acid)
18-MEAは頭髪に含まれる脂肪酸です。市販品は純度が低い合成品1mgが約3万円。現在30mgほどできたので、もう少し作れば新商品になります。私の小遣いを少しと、ついでに私の好きなカルピス代も欲しいし---。
232.化粧品に凝っていますA ラノステロールで白内障を治療?
ウール(羊毛)の生産時に取れる羊毛脂(ラノリン)は化粧品、医薬品、工業製品等の原料として多方面に使用されている。Nature誌(2015年7月号)で、ラノリン成分として知られるラノステロールが白内障の治療法に利用できる可能性が示された。弊社ではラノステロール、ジヒドロラノステロール、コレステロールの高純度試薬(≧99.5%純度)の量産に初めて成功して発売しました(2015.12.24 白内障の方々へのクリスマスプレゼントです)。
233.理研 高額雇用可能に (2015.12.18日経夕)
優れた研究者を年俸1億円で雇用する事も可能になるとのことです。しかし、優れた研究者は待遇よりも研究条件や自由を望むのです。 理研の荒稼ぎ体質がSTAP細胞問題を起こしたのではないでしょうか? 共通性があることに気が付かない様では科学者として失格です。
234. 今日2016年1月3日は私の70歳の誕生日
長良サイエンス(株)は創業16年目で、テーマ探し等が忙しくて今日も会社で楽しい仕事です。この自由な研究時間をもうしばらく楽しむのが私の夢です。きっと私の父母、祖父母もあの世で今の私を見てくれていて、“良かったね”と話している事と思います。
235.古希の祝い[70歳、2016.1.16. 長良川うかいミュージアム 四阿(あずまや)]
社員と卒業生が祝ってくれました。岐阜大学退官祝賀会からわずか5年ですが、また祝って頂きました。私の場合、大学院〜博士研究員(1969-1976、名古屋大学、ハーバード大学、~30才)、名古屋大学助手(1976.3、~44才)、岐阜大学助教授・教授(1990〜2011.3、~65才)についで、その後は現在までの長良サイエンスで70才までの5年間です。この5年間は65才までの大学教員時代とは異なる、「自分らしい研究をできた満足感」を感じていたところ、社員や卒業生がそれを感じ取って今回の会を開いてくれました。お陰様で、若者のエネルギーを沢山頂き、ますますパワーアップです。今後を期待してください。
ついでですが、不完全燃焼の君。ここ長良サイエンスに来て、充電してみてはどうですか? 歓迎しますよ。
236.
今から思うと、この会社を作った理由は、「大学外に研究の理想郷を欲しかった」のかもしれません。「小さいながらもキラリと光る長良サイエンス(株)」を目指してもうひと頑張りです。研究は山登りと一緒で、ある程度の体力、装備、技術が揃って、一度6千メートル級の山に登れば、次々と名の知れた山が連続しています。幸い研究では一度経験したレベルであれば、山を下ることなく連続して挑戦できるし、遭難はしません。未知なる山々が無限に現れるので楽しい限りです。
楽しくなければ研究じゃない! 楽しくない人は連絡してください。